ブログをはじめました

自分は本を読んでいるとどうしてもiPhoneをイジってしまい集中できないので、読書するときは家にiPhoneを置いて自転車で家から離れたファミレスまで行き、深夜から朝方までひたすら本を読むしかない環境にして読書をしています。

 

その日もファミレスで『棚橋弘至はなぜ新日本プロレスを変えることができたのか 文庫版』を読んでいて、棚橋が交際していた女から背中を包丁で刺されたところまで読んで、気が付くと朝の6時になっていたので帰ろうと思い、お店を出ると雨が降っていました。

 

自転車で来ているのでもちろん傘なども持っていないし、家までけっこう距離があるので濡れずに帰るのは不可能です。

 

「女から背中を包丁で刺された直後に自ら原チャリを運転して病院へ行くよりはマシか」と思い、雨の中自転車を走らせていたのですが、思った以上に雨脚が強くて寒かったので途中で諦め、歩道橋の下で雨宿りをしながら本の続きを読むことにしました。

  

すると、棚橋がハッスルに対するガチの嫌悪感を吐露しているあたりまで読んだところで、歩道橋のすぐ目の前の家に住んでいるおばさんが、ポストに朝刊を取りにきたついでに「どうしたの?」とこちらに気付いて話しかけてくれたのです。

 

「雨宿りしてるんだったらうちに傘があるから貸してあげようか?」と言われたのですが、「違います!本を読んでるだけです!」とあくまで雨宿りが目的ではなくただ歩道橋の下で読書がしたい人を装ってお断りすると、おばさんは朝刊を持って家の中へ入っていきました。

 

でも、よくよく考えたら「本屋ならまだしも、自分の家のすぐ目の前で立ち読みされるの意味わからないし気味悪いだろうな」と思って、まだ雨は降っていたもののその場から離れようとしました。

 

すると、またさっきのおばさんがすぐに戻ってきて「これ、男用と女用なんだけど、男用はボロくて穴が空いてるから、ちょっと恥ずかしいけどこっちの女用のほうがいいかもしれないけど、どっちにする?どうせ捨てちゃうやつだから返しにこなくて大丈夫よ」と言って黒い傘とピンクの傘を2本差し出してくれたのです。

 

嬉しくて泣きそうになりました。

 

これまで知らない人から優しくしてもらうということがあまりなかったので、「世の中にはこんなに親切な人もいるんだな」と感動して本当に涙が出そうになりました。

 

おばさんのアドバイス通りに選んだ傷みの少ない女性用のピンクの傘を差しながら「ありがとうございます!!」「本当にありがとうございます!!」と何度も振り返ってお礼を言いその場を去りました。

 

 

これが2016年で嬉しかったことの1位か2位に入る出来事です。

 

しかし、この話はTwitterでもつぶやいていないし、とくに誰にも言いませんでした。

 

「あんまりウケねえだろうな」と思ったからです。

 

「雨の日に傘を貸してもらっただけだし、とくにオチもないし、そんなにおもしろくねえな」って。

 

そこでさすがに自分でも気がつきましたね。

「あ、これ病気だな」と。

 

2016年で1番に匹敵するくらい嬉しかった出来事を「あまりおもしろくないから」という理由でなしにしようとしている自分に対して心底驚きました。

 

あらゆる出来事をインターネットでウケる/インターネットでウケないの基準だけで取捨選択していったら己の人生がパクツイbotみたいになってしまうのではないだろうか。

 

このままだと死ぬときに頭の中に思い浮かんでいく走馬灯が、コンビニで売ってるバカ画像をまとめた本が1ページづつ「クソワロタw」のキャプションとともに表示されていくだけになるのではないだろうか。

 

「最後に顔を見てあげてください」と言って遺族が顔を覆っている白い布を外すと死に顔がワロスbotのアイコンの赤ちゃんとまったく同じ表情になったまま固まっているのではないだろうかという様々な恐怖でいっぱいになりました。

 

「そんなのは本当の意味で人生を生きていると言っていいのだろうか?」と思い、心から反省したのでべつにインターネットでウケそうにはないけど大事だと感じたことをブログに記していくことにしました。

 

よろしくお願いします。

水曜日のダウンタウンに出たことがあります。